FROM LIVEHOUSE Vol.1──渋谷eggman「Girl's UP!!!」ブッカーと、ガールズスリーピース。10年越しの縁を語る
2026年6月、渋谷eggman。女性アーティスト特化メディア『GIRLS特区!!』新連載「FROM LIVEHOUSE」、第1回の舞台に選んだのは、eggmanで19年続くガールズバンドイベント「Girl's UP!!!」のブッカー・窪田氏。お相手は窪田氏自身が指名した、3人組ガールズバンド・TRiDENT(ASAKA/Vo&Gt、SERINA/Ba&Cho、NAGISA/Dr)。出会いはおよそ10年前、前身バンド時代に大阪から東京へ通っていた頃にまで遡る。2020年にNAGISAを新メンバーに迎えTRiDENTとして再始動、2025年11月にはキングレコードからメジャーデビューを果たした彼女たち。「最初は怖かった」という関係性が、いまや「一緒に飲みに行く友達感覚」に変わるまで──ライブハウスから送り出す側と、ライブハウスを育ての場としてきた側、その関係を語る90分。
「Girl's UP!!!」と「FROM LIVEHOUSE」、なぜこの対談なのか
「10年近い付き合い」──なぜTRiDENTを指名したのか
── 記念すべき第1回、eggmanの窪田さんに、TRiDENTを指名いただきました。 窪田さんはたくさんのバンドを見てこられたと思うんですけど、なぜTRiDENTを指名されたのか。事務所チェック前提でけっこうですので、率直に。
窪田:付き合いが結構長いというのが一番ですかね。三人とも前身バンドの頃から知っているし、メジャーデビューもしたっていうのも含めて、第1回として一番相応しいかなと思ったので指名させてもらいました。
── ありがとうございます。
ASAKA:嬉しいです、めっちゃ。
出会いの記憶を辿る──「最初が思い出せない」
── じゃあ最初に、窪田さんがTRiDENTの前身バンドと出会ったきっかけって、覚えてますか?
窪田:それがさ、何が最初だったか全く覚えてなくて(笑)。最初に出てもらった時に何がきっかけだったかが全く思い出せないんだよね。そして打ち解けるまでに結構時間かかってるじゃん、最初怖かったって言われてたりもするし(笑)。
SERINA:私が連絡したのが最初だったと思うんですけど、大阪から通って東京にライブに来るようになってから、最初はガールズイベントみたいなのに、eggmanじゃない別の箱とかで出させてもらってて。どっかのタイミングで紹介されたか出会ったか。
窪田:LINEを見返すと2017年が最初だったの。9年前ぐらい。それがeggmanでの主催イベントのやりとりだったんだよね。そこにQuince(当時NAGISAが所属していたバンド)も出てた。
SERINA:あー、eggmanでの主催イベントの時か。
窪田:そのやりとりが最初だった。それより前の記憶がなくて、でも多分それより前に出てる気はするんですよね。
SERINA:メールのやりとりでしたよね、最初。
窪田:そう。だからこのLINEより前にもやり取りしている気もする。
NAGISA:そうそう、たぶん二人が前身バンドのレコ発のときにeggmanで企画をやって、私が別バンドでやってた頃に誘われて出たのが、本当の最初な気もする。
ASAKA:確かに、しっかりした最初はそれかもって思う。
窪田:僕は「Girl's UP!!!」をやってたから、ガールズバンドたちが集まる場所にもなっていて。それが10年近く前で、そこからずっと続けて、メンバー変わってバンド名も変わってって、でも今も変わらず付き合いがある貴重なバンドですね。本当に付き合いが長い。漫画にも載せてもらったしね(笑)
ASAKA:そうですね。前身バンドから今のTRiDENTになる時に載せた漫画にも出てもらいましたね。
── 漫画?
SERINA:100日後に死ぬワニのオマージュで、4コマ漫画をSNSにあげてて、私たちの今までの軌跡を綴った漫画です。
ASAKA:結構付き合い的に深いっていうのが、今回も選んでもらった理由というのがありがたいですね。めっちゃ嬉しいです。
「最初は怖かった」──打ち上げで距離が縮まるまで
── ちなみに、窪田さんは初めてライブを観たときのことは覚えてます?
窪田:どれが最初なのかわかんないんだよなぁ。でも当時、まだ大阪の田舎の子だったから、こんなに垢抜けてなかった。
メイクも知らないくらいじゃなかった?たぶんしてなかったでしょ。本当に大阪の子が田舎から車運転して東京に出てきたみたいな。
SERINA:メイクしてなかった(笑)
窪田:ライブどうこうってよりは、田舎の子が来たな、ぐらいの感覚でした(笑)でも、演奏もちゃんとしてるしやる気もあるし、面白い子たちが出てきたなって印象でした。
── メンバーから見た窪田さんの第一印象は?
SERINA:怖かったです(笑)。厳密に言うと怖いというより、他の仲良いバンドは窪田さんとキャッキャってしてたんで、「窪田さん、バンド選ぶんだ。」って「私たちハマってないんだよな」って(笑)
窪田:それ何年後かに言われたんですよ。
SERINA:本当に怖かったです。差がありました(笑)。
窪田:これ毎度言うけど、そんな最初からウェイ!ってはいかないじゃん、そんな田舎から急に出てきた子たちに(笑)
ASAKA:入りと帰りに「お疲れ様です」って挨拶するくらいでしたね。そこからしばらく経って打ち上げでお酒飲んで仲良くなってた(笑)結局お酒(笑)

窪田から見たTRiDENT──「3ピースで成立してる」
── 窪田さんはTRiDENTのことを「ここが売りだよな」って思ってる部分ってあります?
窪田:スリーピースであることじゃないですかね。3人でやるって結構大変なので。めちゃめちゃ音圧もあるし、3人でちゃんと成立してる。バンド名の通り(三叉槍)ですけど。女の子のスリーピースバンドってGirl’s UP!!!の出演者でもほとんどいないんですよ。なので3ピースでっていうのは、めちゃめちゃ特徴かなと。
── それを聞いてどう思います?
SERINA:そうなんやー(笑)
NAGISA:これからTRiDENTの良いところはって聞かれたら3ピースのことめっちゃ言ってこう(笑)
── ライブで同期は使ってないんですか?
ASAKA:同期は使ってます。前身バンドの「ガールズロックバンド革命」の時は一切なしで、本当に3ピースだけでやってたんですけど、TRiDENTになって楽曲をパワーアップ・進化させて、同期もいろんな音色を入れて。
── 同期なしで3人だけだと、パンキッシュになりすぎるところがありますよね。
窪田:前身バンドの時はそうだったんで、だいぶ骨太でしたね。しかも地元のライブハウスで叩き上げられてたから、超バンドマンだった。LIP2ndっていう豊中(大阪府)のライブハウス出身なんですけど、そこが結構ライブバンド育成機関みたいなところで。
SERINA:周りに高校も多くて、軽音部とかも集まったりして、そこからメジャーバンドも生まれていったりがあったんで、環境には恵まれてます。
窪田:「バンドとは」を叩き込まれてきた感がある。骨太感もあって。NAGISAちゃんがやってたバンドもそうだったし、なるべくして今の形になったのかなって思いますね。
メンバーから窪田に逆質問──ライブ中、こっちはどう見えてる?
── せっかくなのでメンバーから窪田さんに、ライブ中「ここ見てほしい」とかあります?
ASAKA:恥ずかしいな、ここ見てほしい(笑)。
やっぱりライブ中に見てくれてるかどうかは、ステージからよく見えてるんで。後ろの方で見てちょっと体揺らしてくれてると楽しいですよね。逆に「あれ窪田さんどこ行った?いないけど?」みたいなのも、ステージ上から感じます。
── パンパンの時とかでも、窪田さんが見える時もある?
SERINA:結構しっかり見えます、窪田さんだけはなんかしっかり見えます(笑)
窪田:それ嫌だな、光が当てられてる感じで(笑)。目立つから。NAGISAちゃんからは見えないでしょ?
NAGISA:私からは流石に(笑)
ASAKA:フロント二人からは結構はっきり見えてるんですよ。
窪田:そんな見えてるんだ。恥ずかしい。
ASAKA:いつもだいたいドリンクカウンターの方か、入り口の方や鏡の方にいる。
。
窪田:気を付けます(笑)。
SERINA:できればちょっと笑顔目で見といてほしいです。
NAGISA:一発目のダーンって音で、手を挙げてほしいです。
窪田:いや、逆にやりづらいでしょ、それ(笑)。
SERINA:よかったーってなりますよ。
── 他のバンドのときには上げないんですか?
窪田:ないですないです。恥ずかしいし。もちろん好きで見てるけど、お仕事という面もあるから、はっちゃけられないですよね。
19年続く「Girl's UP!!!」というイベント
── 窪田さんは演者からもファンからも、長く続けてるからこそ、すごく認知されてますよね。
窪田:「Girl's UP!!!」の年末スペシャルを毎年開催してるんですが「それがないと年越せない」とかって人はいてくれてます(笑)。「窪田さんの企画だから行く」って言ってくれる人もいますね。もう昼から12バンド出すイベントなんですけど、スタートから最後まで250人ぐらいずっとパンパンだったり。
── 何年からでしたっけ?
窪田:2008年です。19年目かな。回数的には400回強。
ASAKA:もはやレジェンドですよね。
── NAGISAさんは、もともと別のバンドで活動されていたんですよね。
NAGISA:そうですね、Quinceっていうガールズバンドをやってて、当時から「Girl's UP!!!」にも出してもらってて。ガールズロックバンド革命ともめちゃくちゃ一緒に対バンしてて、一緒に2マン企画とかもやってたりして、めっちゃ切磋琢磨って感じで。
窪田はダメ出しをしない──「おこがましいと思ってる」
── 感想とかダメ出しみたいなことって、窪田さんはバンドにします?
窪田:僕、しないです、全然。
── 感想とかも言わない?
窪田:あんまり言わないです。僕自身がバンドをやっていないからライブハウスに出演して、ブッカーに色々言われてという、いわゆる一般的なバンドとブッカーのやり取りという部分の感覚があまりなくて。「バンドはこうあるべき」っていうのを知らないでこの仕事を始めてるので。
── でも窪田さんから言われて「これは絶対忘れない」みたいなことがあったら聞きたいんですけど。
NAGISA:あります、TRiDENTになってひとつ。うちらがツアーのファイナルで、すごい演出をしっかり入れたライブをやったんですよ、大きい会場で。
そのとき窪田さんが見に来てくれて、感想を聞いたら「1個のワンマンとしてそれをやりたいのか、ツアーの集大成としてやりたいのかがちょっと分からなかった」みたいなことを言われて。それが新視点で、確かに!って。
ASAKA:うちらは、ファイナルは盛大にやるもんだと思ってたんですけど、ツアーのそれまでのライブハウス会場には後ろにLEDがなくて、最後だけLEDで映像もしっかりやって。
SERINA:確かに、ツアーの積み重ねの終着点っていう発想が抜けてた。そこからツアーファイナルのやり方を変えました。
SERINA:豪華にするのは周年とかにして、ツアーはあくまでバンドの素を見せるシンプルな形にしようって。
NAGISA:初めて言われたかもしれない。
窪田:普段あんまり言わないから。
SERINA:ありがたい、気づけない(笑)
窪田:そりゃ3人がちゃんとしてるからだと思うんですよ、そういう演出がなくてもできる人たちだから。だから、「それはそれ、これはこれ」にした方がいいんじゃないって思ったんじゃないかな、当時。
僕はお客さんなんですよ、シンプルにライブを見てる。だからツアーに来た人は、その流れをもっとツアーっぽく見た方が楽しいんじゃないかなって思って、言ったんでしょうね。
── 例えば、ドームツアーって全部同じ演出じゃないですか。それがライブハウス規模になると、小箱からバーンとやって最後大きくっていうのが定番だから、最終地点の見せ方が変わってくる前提とは思うんですけど。それでも今の話を聞いて、確かにと思いました。
SERINA:それ以外はあんまり言われたことないですね。
ASAKA:こっちが相談したら意見はくれるんですよ。前身バンドを辞めてどうしていくかとか、相談させてもらったときは答えてくれる。でも、ライブ終わりの精算とかでは言われない。
SERINA:基本的にはあったかく見守る感じ。
窪田:おこがましいなと思ってて。TRiDENTに限らずだけど、俺の言うことがバンドにとって全部正しいんだったら、俺はとっくに売れっ子プロデューサーになってる。そうじゃない限りは、聞かれたら思うことは答えるけど、自分から「いやこうでさ、ああでさ」はやらないですね。
── 聞かれることはないんですか?
窪田:聞かれたら答えますよ。「今日のライブどうでしたか?」とか「気になってて」とかは、僕なりの答えはもちろん言いますけど、自分から「今日こうだったね」みたいなのはあんまり言わないですね。ほぼ言ったことないと思う。
大阪と東京、ライブハウスの距離感の違い
ASAKA:それこそLIP2ndとかは、多分話すタイプの箱なんですよ。清算で深夜1時回るとか。
SERINA:eggmanに出るバンドって、もう結構完成形なんですよ。
窪田:確かに。まず叩き上げを作っていくっていうより、ある程度の規模だったり集客だったりになってから出ることが多くて、すでに事務所がついてるパターンも全然ある。だからそこまで僕はあんまり踏み込まないですね。
ASAKA:確かに、東京のライブハウスの方でそういうアドバイスみたいなのをもらうのは、なかったよな。全部大阪というか地方だった。
窪田:東京との差かもね。育てる場所っていうよりは、そこから先の話をすることが多いかもしれない。事務所がすでについているバンドも初めから多いから、そういう場合はメンバーとではなくマネージャーさんとブッカーで話すじゃないですか。なのでメンバーさんの連絡先を知らないっていうのも全然ザラにあります。メンバーさんとは「おはようございます」「ありがとうございました」だけっていうのも全然ある。
そういう意味でいうと、地元の密着型で一緒に育っていくっていうところとは、ちょっと距離感が違うのが大きいね。
ASAKA:当時もGirl's UP!!!に出てた周りのバンドはほとんど事務所に入ってて。だからツーマンを当時のバンドでやったのも、無所属を売りにしてて。
窪田:事務所がついていないというのをアピールポイントにはしていたよね。。
ASAKA:うちらぐらいしかいなくて、それ以外はみんな事務所がついてるバンドが多かった気がします。
窪田:みんなはそういう意味では叩き上げの野良たちよね(笑)。
ASAKA:地方から出てきた田舎の人たち。
窪田:ハングリー精神みたいなのはめっちゃあったよね。その時のやる気というか。
改名、再始動──TRiDENTの誕生
──ガールズロックバンド革命が解散して2020年にNAGISAさんが入って、3人で再スタートしました。窪田さんから見て、改名・再スタートの前後で違いはありました?
窪田:覚悟は変わったかなと思ってます。辞める選択肢もできたはずなんですよ、メンバーが一人が辞めるってなったときに。それを辞めずに、改めてやるって、結構な労力で。自転車漕ぐの、最初ってしんどいじゃないですか。走っちゃえば楽だけど、最初の一歩を踏み出すのはすごく大変だったと思うんで、「もう一回頑張るんだ」っていう意欲とか覚悟は、変わったのかなと思いますね。
SERINA:確かに、上京してきたのもそのタイミングで。解散するかどうかも結構……。前のバンド名も、当時は結構周りに認知されてて、「いや、もうこのままの方がいい」って言われたんですけど、ちょっと心機一転するかっていうので。
ASAKA:私たちは自主だったんで、失うものがなかったから、怖いもの知らずでやりきれたのもありました。バンド名を変えるのも反対意見はあったけど、「もううちらでやってるから、別に変えたかったら変えたらいいやん」って。うまくいけば自分たちのおかげだし、うまくいかなかったら自分たちのせいだし。誰の顔も浮かばず、自分勝手にできたっていうのも、結構やりきれた部分かなって思います。
── TRiDENTに入ってみてどうでしたか?
NAGISA:誘われたときに、まず二人が「うちらのバンドに入ったらこんな素敵なことがあるよ」ってプレゼンしてくれたんですよ。
── プレゼン?
NAGISA:本当にプレゼン。それがめちゃくちゃ上手くて。例えば「お給料が出ます」とか。
ASAKA:革命の時から毎月お給料を出して、バンドの金庫から「じゃあ一人いくらずつ載せれば」ってお金を管理して、っていうのを。
NAGISA:それがすごいみたいな。自主なのに給料が出てる。そもそも、それだけ売上が立てられてることもすごいし、それを各自分配しても大丈夫って管理できてることもすごいって思って。
本当にプレゼンが上手で、「このバンドに入ったらこんなに素敵なことがあります」って(笑)。
窪田:その辺はめちゃめちゃちゃんとしてるんだ。
NAGISA:ちゃんとしてました! NAGISAちゃん今バイトしてますよね?バイトしなくても活動ができますよ!みたいな(笑)それ以外にももちろん良いことがすごくあって、バンドの目標とかいろいろ聞いて、決めて、やっぱり入って素晴らしいことになったなって思いました。
── 当時から結構しっかりプランニングとか目標を立ててやってたんですか?
ASAKA:立てるのが多分好きで。自分たちで考えて何かを成し遂げていくみたいなのがすごい好きやったんで。小さい目標から大きな目標まで全部みんなで考えてやってましたね、その頃は。

再始動後の初ライブ──ZEPP HANEDAでの船出
ASAKA:TRiDENTになってからの初ライブは、見に来てもらってますよね。ZEPP HANEDAだったんですけど。
── ZEPP見てどうでした?
窪田:「ここからこの子たちはこうやってまた始まっていくんだな、嬉しいな」って感じが、まず1個ですかね。
ASAKA:初っ端のライブがめっちゃガチガチで、緊張しすぎて全員が……。
SERINA:演奏はボロボロでした(笑)
窪田:ボロボロではあったね、その記憶もある。なかなか大変そうだなぁ、みたいな。
ASAKA:コロナ禍なんで、ソーシャルディスタンスを保って座席でみたいな。そこで結構チームがいろいろ変わって、環境も変わっての本当に初ライブだったんで、もう今まで自分たちがやってきたことじゃない。同期入るとか何もかもが初めてだった。
SERINA:曲も全部新曲。TRiDENTになって変わった曲を全部初披露。
窪田:今考えると攻めたね、それよくやったな。
5年間でファンを増やしてきた──「真っ当なバンド」
── そこからメジャーに行くまで5年間、ライブやリリースをずっと積み重ねて、ZEPPのワンマンもやって、着実に階段を上がってきた5年間だと思うんですけど、窪田さんはこの5年をどう見てます?
窪田:僕はライブハウスの人間だからやはりライブは大事にしたくて。だからちゃんとライブをやって、ちゃんとライブを見せて、っていうのをしっかりやり続けているのがまず嬉しいです。なおかつ、結構面白い趣向のライブをやってるんですよ。おじさん限定ライブとか若者限定ライブとか。どうやったら楽しんでもらえるんだろうって、すごく考えてる人たちだなと思っていてそれがすごいなって思ってます。ちゃんとライブの規模が上がっていってますし、TRiDENTはとても真っ当なバンドだなと思います。五年って年月が長かったか短かったかはわからないですけど、真っ当に成長してるバンドだなと。
その真っ当さがちゃんと報われてほしいなと、俺はずっと思ってるから。
メジャーデビューもしているし正直ここにたどり着けるバンドって数%の世界だと思うんですよ。全部が順風満帆で大バンザイとはメンバーも思ってない部分はあるとは思いますけど、だいぶ順調な方だと僕は思ってます。辞めずに続けられてるのもすごい。
続けることの秘訣
── 続ける秘訣みたいなのありますか?
ASAKA:TRiDENTって最初から、東京ドームを目標に掲げて、そこにみんなで行こうって船を走らせてるんで。それを信じてついてきてくれてるファンの方たちの顔、今は事務所やチームの方も含めて、自分たちを応援してくれてる方たちがたくさんいる。自分たちだけでやってるバンドじゃないので、そういういろんな人の顔が浮かぶのが、頑張ってこれる活力。辞めたいってなったときに乗り越えられる存在やなって、すごく大きく感じます。
NAGISA:確かに、ちょっと「TRiDENTやばいか」みたいになったときに、「もう一回やってみよう」っていう、諦めの悪さというか粘り強さみたいなのはみんなあるかなと思います。「ワンモア」みたいなのが結局重なって、今があるなぁみたいな。とにかく諦めずに、結構泥臭くやってきたなぁって感じ。
SERINA:私は「なるようになるか」って思ってて。人生で結構、計画的にというよりかは、その時に思った方向に全力を注ぐっていうので、バンドも始めて。深く考えすぎてなかったがゆえに、ここまで続けてこれたんだなと思うんですけど。ライブするのがすごい楽しくて、ライブしてる時間が人生の生きがいというか、スッキリする時間なので、それが楽しいから続けてこれたっていうのもあります。
メジャーデビュー、そして変わらない関係性
── 去年の11月にキングレコードからメジャーデビューですよね。窪田さんはメジャーデビューの話を聞いてどう感じました?
窪田:嬉しい以外はないですよね。ライブハウスはバンドを世に送り出す場所なので。メジャーデビューってやっぱりバンドが目指す場所の一つだから、そこにたどり着いたっていうのはシンプルに嬉しいですね。
── メジャーに行ってから接点の持ち方は、何か変わりましたか?
窪田:何も変わってないです。
ASAKA:私たちのラジオに出てもらったこともあるし、「窪田さんラジオ出てよ」ぐらいの感じで。私たちの口から「友達」って言っていいかわからないですけど、そんぐらいフランクに。
SERINA:私の誕生日飲み会に呼んだこともありますね(笑)。
窪田:あー、あったね。誕生日、呼ばれたわ(笑)。
ASAKA:そうそう、誕生日会したりとか。私、昔からよく思い返せばよく飲んでたんですよ。
窪田:結局酒です(笑)。深まった絆。メジャー行ったからどうこうは、お互い何にもないと思います。良いか悪いかは別ですけど(笑)。
── 良いと思います。そういう縁が続いていくって素敵なことだと思う。だから今日の第1回に呼びたいって思ったのも、そういうところでしょうし。
ZEPPと小箱──両方やる意味
── ZEPPやったじゃないですか。今のところ最大はZEPP SHINJUKUが最大規模ですか?
ASAKA:動員的にはZEPP SHINJUKUが、うちらの中では過去最多だったと思います。キャパ的にはZEPP HANEDAなんですけど、ソーシャルディスタンスを保ってだから、もうHANEDAだと思えないくらいの動員だった。
── ZEPP HANEDAやZEPP SHINJUKUみたいなデカ箱をやってからの、eggman規模の200〜300のライブハウスでやる意識って、変わりました?
ASAKA:意外と、あんまり……。どっちの良さもすごくあるなって。
NAGISA:小箱ってめっちゃ楽しい。自分たち結構下積みというか、さっきも言ったように、地元の頃からライブいっぱいやってきたんで。eggmanも結構老舗だし、キャパ的には大きい方だもんね。東京出た時は、eggmanでやることもすごいことって感覚だったんで。
SERINA:ライブハウス、お客さんと距離近いの、めちゃくちゃ楽しいなって思います。大きい会場のお客さんはそりゃ喜んでくれてると思うんですけど、
窪田:小箱でやるTRiDENTはおもろいぞ、みたいな。高まったグルーヴ感がすごいあると思います。
ASAKA:どれだけ規模が大きくなっても小箱ではやり続けると思います。
窪田:ずっと小箱でやろうと思えるバンドは、中毒だよね、多分。戻ってきて、ちょっと小さい箱でやるか、みたいな。やっぱね、面白いことしたいんですよ。バンドの根底がそれだから。だからそういう意味では全く真っ当だなと思うんですよ、バンドとして。
ライブハウスでしか起きないこと
── ライブハウスだからこそ起きることって、ありますか?
窪田:2026年の6月18日(取材日)も今日しかないわけで、その日にしか起きないことがそこにあるっていうのが、一番のところじゃないですかね。
── eggmanだからこそ起きるケミストリーって、TRiDENTの場合あります?
窪田:TRiDENTではまだ見たことはないですけど、ここの柱を回る人はいますね。バンドが煽って、「そこに邪魔な柱あるだろ、回れ」みたいなので遊んでる人たちはいっぱい。
あとは物理的にステージとフロアの距離は近いです、キャパの割に。最前との距離は近いし、横に広いから、熱量が伝わりやすいかもしれない。
NAGISA:経験上、eggmanでやって盛り上がらなかったライブがないなって。eggmanに来るっていうお客さんが、「やるぞ!」みたいな気持ちで来る人がめちゃくちゃ多いなと思っていて。ゆっくりのんびり見る人ももちろんいるんですけど、基本的にはeggmanに来るのが「ぶち上がっちゃうぞ」って人がすごい多いかなって。
窪田:「Girl's UP!!!」を続けてるがゆえに、eggmanで見るガールズバンドが好きっていう人がは居てくれていると思います。
思い出深いeggmanのライブ
── 思い出深いeggmanのライブってあります?
ASAKA:前身バンドからこの企画とか主催をeggmanですることが、すごい多かったなって。今思い浮かぶ景色が、表でフラスタの写真撮ってたりとか、「この企画です」っていう集合写真とか。節目節目でお世話になった箱だなぁっていう印象がすごく大事な日に。
窪田:あと、俺、司会やったなぁ(笑)。
ASAKA:リリースイベントをeggmanでやらせてもらった時に、リリースして、トークショーとミニライブをやって。まず窪田さんが司会をしてくれて。
NAGISA:印象だったのが、そのときに曲を初披露したんですよ、CDに入ってる曲を。その時のお客さんが、もう聴き慣れてますみたいな乗り方をしてくれて。その曲、今でもライブでどこ行っても盛り上がる曲になったんですけど、第一発目のお客さんのこなれ感がやばかったのが、すごく印象に残ってます。
── それってeggmanの空気があってなんですかね?
窪田:eggmanだからっていうのは少しはあるかもしれないですね。そもそもテンションが高くて、ライブに対する意欲が高いファンの方がこのシーンには多いと思います。
── そういう相乗効果があるのっていいですよね。
これからの窪田×TRiDENT
── eggmanや「Girl's UP!!!」が、TRiDENTといつか実現させたいことってあります?
窪田:1月にeggmanでTRiDENT・NEK! っていうツーマンをやったんですよね。「Girl's UP!!!」の今年のスタート、eggmanの営業スタートでもあって。ツーマンやって、即完売だったんですよ、一瞬で。当日めちゃくちゃ盛り上がって、打ち上げもここでやってグルーヴが高まって、すごくいい関係性で。
また10月に代官山UNITでツーマンやるんですけど、自分が繋いだ縁がそういうところに発展していくのは嬉しい。
この場所で見るTRiDENTとか好きだし、NEK! もそうですけど、この場所が基本好きです。だから僕はあんまり周年を他の箱でやるとかはやってないんですよ。景色としてここが好きなんですよね。ここでやるっていうのは大事にしてますね。
── メンバーから、窪田さんと何かやりたいことってあります?
NAGISA:結構なんだかんだ叶えてきたな。トークショーの司会とかもそうですし。
SERINA:引き続き、定期的に飲みに行きたい。
窪田:酒です。結局は酒です(笑)。
ASAKA:確かに今回のツアーもそうやけど、このTRiDENTが何か大きなイベントとか、ガールズバンドと何か大きくなっていく中で、窪田さんもそこにずっと名前がある存在っていうのがすごい嬉しいんで。もちろんeggmanが好きなのは大前提ですけど、大箱を目指していく時に一緒にいて欲しい存在ですね。
窪田:こうやって続けてくれている存在がなかなかいないので、貴重な存在かもしれないですね。
女性アーティストとしての軸
── 『GIRLS特区!!』は女性アーティスト特化メディアでもあるので、女性ならではの質問を。窪田さんは19年このイベントをやってきて、たくさんの女性アーティストを送り出してきていると思うんですけど、TRiDENTの3人を見て、芯が強いな・タフだなって感じる場面ってあります?
窪田:この対談の1時間半に凝縮されてたんじゃないですかね。芯がなきゃ続かないし、辞めそうになったタイミングも絶対あっただろうし、無理かなと思ったタイミングも絶対あっただろうし、それでも続けたっていうことが芯の強さだと思うので。そこに尽きるかなと。
── メンバーそれぞれに聞きたいんですけど、女性としての生き方の「矜持」みたいなのってあったりします?
ASAKA:女性で表に立ってる立場なので、歳を重ねても老いを感じさせない見た目をしたい。可愛いとか綺麗とか、いろいろあると思うんですけど、自分なりに磨き続けること。中身も外見も。中身って結構外見にも出るなと思うので、見た目だけじゃなくて中身も、男女ともに「いいな」って思える女性になれるように、日々磨いていくことですかね。
SERINA:あくまでイメージですけど、男性はストレートに何でも伝え合って深みを出していく生き物だと思うんですけど、女性はまた別で、あんまりストレートに感情を表現するよりは、いろいろ計算したり、迂回したりしながら、過程の中で深みを出していく、特有のものがあると思っていて。そのなかで女性にしかできない生き方で、深みを出していきたいですね。
NAGISA:アーティストとしてですけど、前身バンドの時は当初、ガールズバンドとは対バンしないっていうスタンスでやってて、男性バンドとばっかり対バンやってたんですけど、そうすると「女の子だからいいよね」みたいに言われることも結構あって。
今だから思うんですけど、女の子として生まれたからにはもう最大限「女の子であること」を出していきたいなって。自分も好きになるバンドが女性ボーカルやガールズバンドであることがめちゃくちゃ多くて。やっぱり女の子って楽しくて、可愛くて、いいなって。プラスでかっこよくて。自分が生まれたからにはそれを最大限に使って魅力を出していくバンドをやっていきたい。
── 前身バンドの時って、それでもGirl's UP!!!には出てた?
NAGISA:最初は全く出てなくて。私、結構2人より早く東京に出てきたんですけど、当時はガールズのイベントに全く出てなくて。でも初めてガールズバンド主催のイベントに誘ってもらったとき、正直、集客の量が全く違ったんですよ。そもそもライブハウスにいるお客さんの数が違ったときに、「自分の考えに拘って人が少ない場所でやるよりも、お客さんがいっぱいいるところで伝えた方がまずいいな」って。
「今までのやり方はどうだったんだろう」って結構思って。まず人に伝えなきゃ、誰もいないところでやってても意味ないなと思って、ガールズの主催イベントにも出るようになって、やっていくうちにいいなって思えてきた感じです。
最後に──ライブハウスで待っている
── 最後に、ライブハウスに足を運ぼうとしてくれてる人、見に来てくれてるファンの皆さんに、それぞれメッセージを。
NAGISA:いつもありがとうございます。TRiDENTらしさをこれからも貫いて、自分たちにしかできない・代えがきかないライブを、これからもしていこうと思いますので、これからもドームに向かって、一緒に走っていきましょう。
ASAKA:みんないつも本当にありがとうございます。とにかく自分たちはかっこいい音楽を作って、ライブして、みんなと一緒に楽しい空間を過ごしたいし、幸せをみんなと分かち合っていきたいなという気持ちなので、これからもみんなに楽しんでもらえる企画や、ぶち上がってくれそうな新曲を、ひたすら発信し続けるので、これからもぜひ、ついてきてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。
SERINA:今の時代はサブスクやYouTubeでも簡単に音楽を聴ける時代だと思うんですけど、そういう形で私たちの音楽を楽しんでくれるのもめちゃくちゃ嬉しいし、ちょっと刺激欲しいなって方は、ぜひ私たちのライブに一回来てもらえたら、人生が変わるので。一緒に私たちとライブハウスでぜひ楽しんでほしいなって思ってます。いつも待ってます、よろしくお願いします。
窪田:バンドだけでライブハウスは成立しないです。来てくれる人がいて、楽しんでくれる人がいないと、ライブハウスは成立しないので、これからも来るライブは全力で楽しんでもらって、少しでも好きなアーティストができたら、ライブを見にいってみてほしいです。ライブを見たら人生変わることがいっぱいあると思います。僕も一度観に行ったライブで心奪われて就活を辞めて、ライブハウスで働き始めた人なので。一度ライブハウスに来て楽しんでほしいなと思います。今楽しんでる人は、変わらず楽しんでくださいって感じですかね。

Interview / Photo:柴 正明