下北沢駅南口から徒歩4分、住宅街の角に佇む小さな喫茶店「珈琲店◯◯」。1985年に創業し、現在は2代目のマスターが店を継いでいる。豆は店内で焙煎、メニューはコーヒーとトーストのみ。40年以上、その潔さを変えていない。
店内に入ると、まず焙煎香が出迎える。カウンター席が6席、奥に小さな2人用テーブルが2卓。BGMはなく、マスターが豆を挽く音と、客同士の小さな会話だけが空気を満たす。その空気感に惹かれて、ライターやミュージシャン、デザイナーといった「ひとりで集中したい人々」が、この店を見つけては通い詰めるようになった。Artist Aもその一人だ。
彼女がこの店を知ったのは、デビュー直後の夏。当時通っていた近くのスタジオから歩ける距離にあり、レッスン帰りに偶然立ち寄ったのが始まりだった。「最初は単に近かったから入っただけ。でも、頼んだコーヒーを一口飲んで、今までに飲んだことのない味だと思った。それから、ほとんど月に何度も通っています」。